「ばり研通信」178号(2015年9月末発行)の私の連載より、一部、修正して掲載してます。「ばり研」(=ノイエ)は、http://blog.goo.ne.jp/neue-blogです。
今号から、連載の原点思い出しまして、車いすを使用している方などの住まいや暮らし方を、少しずつ紹介させていただこうと思います。暮らし方も人それぞれにあることが、読む方に伝わればと考えています。初回はノイエメンバーのAさんです。自宅ではご家族と2階!で生活している…とのことで、その工夫している住まい方などを取材させていただきました。

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駅前には駅前広場が整備され歩道も広いです。ですが、お店は数軒の飲食店やコンビニぐらいしか無いので、Aさんは指扇で寄り道はあまりせず、買い物は大宮などで済ましてくるそうです。

自宅近くでまた住宅街の裏道に入りますが、片側が擁壁だったり街灯が少なかったりで夜は怖そうです。このようなこともあって、最近は駅までは車で送り迎えをしてもらうことが多いそうです。


道路から玄関まではスロープになっていて、Aさん一人で玄関まで入れます。ですがこの時は、私が待っていたので、お母さんに押してもらった写真になってしまいました…。以前は道路と敷地内には3段ほど段差があったそうですが、道路が工事でかさ上げされたため、その時にスロープに改修したそうです。
門は横スライドで広く開くタイプです。玄関も最近の住宅と比べると寸法に余裕があり、玄関ドアの幅は大きく、玄関土間も広めなので、車いすのまま玄関に入るだけのスペースが十分あります。そのため、Aさんは一人で玄関を開けて中に入り、玄関框に車いすを寄せて、一人で車いすから降りて家に上がることができます。
ですが、Aさんの車いすや、外出時に使うものなどを置いておくスペースは無いので、これらは車庫の車の中に置いているそうです。現実には、家からは車で出かけることが多いので、その方が便利だそうです。


以前は、お母さんがAさんをおぶって、通常の階段から上がり下りすることもあったそうです。しかし、今はもうできないので、Aさんは一人で専用階段を上がり下りしなくてはならないのですが、Aさん自身も徐々にしんどくなっているそうです。
Aさん家族が暮らす2階は、テーブルやイスではなく、Aさんに合わせて、こたつなどを使った床での生活スタイルだそうです。洋室の床には、クッションマットを敷いた上からカーペットを敷いて、足が痛くないための配慮と冬場の寒さ対策をしているそうです。Aさんは自分の部屋は無いそうですが、自分で上がり下りできる低いベッドのまわりが、自分のスペースになっているそうです。
洗面所も、Aさんが使いやすい低い位置に取付けた洗面台があり、洗面等に必要な物も、手が届く低い位置に収納しているそうです。トイレは、Aさんと家族の両方で使えるように、洋式を埋込むようにして段差を低くしてあるそうです。


Aさんは、ヘルパーさんなどはまだ頼んでいないので、介助が必要な部分はお母さんがサポートしているそうです。お母さんとしては、何かあった時のために、ヘルパーさんを使えるよう準備などはしておいて欲しいと思っているそうです。

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まだ、バリアフリーなどの概念が無い時代に、なるべく一人でできるようにと、とても合理的な改修方法を考えて工事されていたことに驚きでした。

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