「ばり研通信」179号(2015年10月末発行)の私の連載より、一部、修正して掲載してます。「ばり研」(=ノイエ)は、http://blog.goo.ne.jp/neue-blogです。
→前半のhttp://home.kurade.net/article/171672093.htmlからの続きです。


和室のメインは、パソコンとその周辺機器に囲まれた座卓…という感じで、パソコンを駆使しているAさんらしい部屋です。押入は襖を常に外した状態で、壁一面の大きな棚のようでとても便利そうです。Aさんがよく使う物や布団などは下段に置き、上段は収納ケースやヘルパーさんに片付けてもらう物などが置かれているようです。下段に、ラベルの剥がされたペットボトルが並んでいたので聞くと、手がすべるので、買ってきた時にラベルは剥がすのだそうです。
和室の上空には、ハンガー掛けや物干が部屋を横断するくらいの長さで架かっていて、仕事着や普段着などの洋服がハンガーで吊るされた状態になっています。洗濯した後にヘルパーさんに掛けてもらうそうですが、室内干しのためだけでなく、Aさんが自分で着るものを選ぶのにも都合が良いようです。和室の照明は、Aさんが前の住まいから持ってきたリモコン付きの照明なのですが、なぜか壁のスイッチが見当たらなかったそうです。そのため、外出して帰って来た時にリモコンを探さないよう、和室の入口にリモコンは置いて出かけるようにしているそうです…。

キッチンは、ガスコンロではなく卓上IHコンロのみにして、換気などの注意を要する裸火を扱わないようにしています。キッチンのシンクは、Aさんは三つ這いの状態でも水栓に手が届くので、食事後の食器を水に浸けて置いておいたりするそうです。
洗面は、前記のダイニングスペースの一画に置かれた洗面化粧台で、三つ這いの状態で洗面や歯みがきなどをしているそうです。水栓ハンドルは一般的な握りタイプですが、握りにくかったようなので、この取材の後に、手を掛けて回転させるレバーハンドルに交換しました。洗濯機は、その洗面化粧台の横に置かれていますが、床の排水口がちょうど洗濯機の真下だったため、洗濯機にゲタを履かせて対応したそうです。




食事については、平日の夕食はAさんが献立を決めて、ヘルパーさんに作ってもらうそうですが、食べる時は、和室の座卓で一人で食べることが多いそうです。Aさんが考える献立では、意外な組合せに驚かれたこともあるそうで、サラダうどん(うどん・ふえるわかめ・シーチキン・トマト・きゅうりをマヨネーズで和える)と、勤め先でいただいたトウモロコシをジャガイモとマヨネーズとコショウで和えたハンバーグ風などが印象に残っているそうです。ヘルパーさんに夕食を作ってもらう時は、翌朝の朝食用のおにぎりなども作ってもらっているそうです。ちなみに、ヘルパーさんが入らない土日の夕食は、外で食べて来るかコンビニで買ってきて食べるそうです。
これらのように、Aさんはヘルパーさんを利用しながら一人暮らしをしています。出勤日の朝には身支度や薬塗りなどから見送りまでを依頼し、平日の夜には着替えや夕食や入浴などを依頼しているそうです。休日などには、洗濯や掃除や一週間分の買い物などを依頼し、病院に行く時などは移動支援を依頼しているそうです。とても上手く利用しているようですが、やはりヘルパーさん確保には調整が必要なようで、取材の時点では事業所を7つ!利用しているとのことでした…。

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Aさんの住まいは、外出するための準備や車いすでの玄関の出入りなどは大変そうですが、改修とヘルパーさんを組み入れることで、けっこう暮らしやすくなっていると感じます。取材でおじゃました和室も、Aさんらしい整理されたとても居心地の良い空間で、もう少し居ようかな…と思ってしまいます。

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