2016年03月11日

【色々とみて】93_大正〜昭和初期のままの旧安田楠雄邸の空間 その1


s160311a.jpg 1月末に、文京区千駄木にある「旧安田楠雄邸庭園」http://www.national-trust.or.jp/properties/y-tei/y-tei.htmlを見に行ってきました。邸宅は大正8年築の、敷地に合わせた雁行型の近代和風建築で、昭和初期以降はほとんど改築や改修がされておらず、建築当時の姿がほぼそのまま残されている、というのが驚きです。サッシ化された窓も無く、エアコンの設置も無く、洋室のカーテンは大正時代のものがそのまま使われており、当時の家具や生活用品も多数そのまま残されていたそうです。平成8年まで普通に生活に使われていたとのことで、70年間、ほぼ変わらない暮らし方をされていた…というのもさらに驚きですし、住まいへの愛着というものを強く感じます。そういう経緯や気持ちを踏まえて、住まいを見させていただき、感じさせていただく…という気持ちになります。平成8年に遺族の方から日本ナショナルトラストへ寄贈され、修復を経たのち一般公開されているそうです。とても、キレイに手入れや管理がされており、邸宅を使って建物に息を吹き込む季節の和の行事なども企画されており、また行きたくなる空間です。るんるん

s160311b.jpg 表玄関は広い土間に、巨大な沓脱石がドンとあります。4枚ガラス引戸だけでなく、障子の入った窓や欄間で明るい空間になっています。天井は、スギ板の張り向きを変えて市松にしてあります。写っている方々は、日本ナショナルトラストの関係で、建物案内などをされている文京区のボランティアの方々です。この日は冬シーズンでとても寒い日だったので、ほぼ私一人で案内していただき見学できました。

s160311c.jpg 玄関を上がった寄附の脇に、電話室があります。そこに昭和初期のダイヤル式の電話機がそのまま残っています。パンフレットによると「2号自動式壁掛電話機」というものだそうです。博物館とは違って、住宅の中にあるとたいそうな物だったのがよく分かります。電話

s160311d.jpg 玄関から近い位置にある応接間でここは洋室です。大正時代から昭和初期の、洋室の調度品が当時の雰囲気を再現するように置かれています。アームチェアと2段の丸テーブルは昭和4年の結婚祝い品だそうで、上段がガラスの2段丸テーブルは、どういう使い方をしたのかとても興味深い形をしています。チェアの表地は、最近、当時のまま残っていた生地を元に、当時の作り方を再現するようにして作り直し、張り替えたそうです。テーブル脇の2つの台は手あぶりというそうで、炭を中に入れて手を温めるのに使ったそうです。この手あぶりや奥のレースカーテンは、大正時代のままのものだそうです。

s160311e.jpg 応接間の奥、庭園側には、このような広い縁側のようなサンルームがあります。連続したガラス戸でとても明るいですし、床のゴムタイルもモザイクタイルような雰囲気を出していて、気持ちの良いスペースです。この床のゴムタイルも、劣化して脆化していたので、同じ物を再現して作り直し張り替えたそうです。

s160311f.jpg 応接間の一部のガラスはこのような結霜ガラスというものが使われています。「摺りガラスの表面にニカワを塗り、乾燥させると、ガラス面に食いついたニカワが収縮し、表面を剥ぎ取るためできる模様…」とのこです。「芋虫が這ったような模様」は若干気持ちが悪いですが、1枚と同じ模様にならないというのがいいです。

s160311g.jpg 応接間には、このような大正時代の蓄音機ビクトローラーがあり、現在もレコードを聴くことができるそうです。パンフレットには、米国ビクター・トーキング・マシン社の1923年製のVV-80というものだそうです。スピーカーにあたる拡幅器は、上段の観音扉を開けると中に内蔵されているそうです。このビクトローラーの右にちょっと写っているのは、昭和5年頃製造のヤマハのピアノで、ビクトローラーと共に2008年に修復され、現在もコンサートなどで使われているそうです。晴れ

s160311h.jpg 玄関から長い畳廊下を通った先に、「残月の間」があります。写真は、中央が障子の出隅柱で、左側が「残月の間」、右側が縁側になります。廊下もここの縁側もずっとガラス戸が連続しており、1階でありながら、とても明るいのが印象的です。建物全体で、100枚以上の雨戸があり、毎日(あるいは公開日?)朝全て開けて、夕方全て閉めて…というのをボランティアスタッフでやっているそうです。光りと風を通さないと、建物がみるみる傷んでしまうので、大切なことだとは思いますが、なかなか大変な枚数です…。

s160311i.jpg 天井も、様々な意匠のものがあるのですが、この「残月の間」の縁側の天井は、このようなスギ板の天井です。うねるような模様のある板目を、引き立つように見せる意匠も珍しいですが、床を支えるかのようなさお縁というか野縁のような構造は、天井の水平剛性を高めているかのようです。

s160311j.jpg 建物内の照明も、建築当初からのオリジナルの灯具がかなり残っています。意匠的には、持ち手の上にロウソクを置いて持ち歩いた提灯?をモチーフにしたような灯具が多いです。写真は「残月の間」の灯具で、2灯の間に2羽の鳥を透かしでデザインした鋳物製で、案内の方が、鳥が見えるよう向こう側に白い紙をあててくれています。ちょっと周りからは浮いたような意匠に感じますが、独特な姿は面白いですし、鋳物にした中に電線を通しているというこだわりがとてもいいです。目

 続きは、http://home.kurade.net/article/174584528.htmlです。

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posted by ki at 13:57| Comment(0) | 色々と見て
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