2016年09月07日
【色々とみて】103_渋沢史料館「青淵文庫」と「晩香廬」の上流の空間
http://home.kurade.net/article/176654191.htmlの次は、王子の飛鳥山公園内の旧渋沢庭園にある「青淵文庫」と「晩香廬」を見に行ってました。渋沢栄一記念財団による「渋沢史料館」http://www.shibusawa.or.jp/museum/facility/の一部として公開されています。建物の名称の由来は調べてないですが、どちらも字面といい響きといいなんとも素敵なネーミングです。外来語に頼らなくても、こういう名称を付けることができるのだなと思ったりします。
「青淵文庫」は、1925年完成の鉄筋コンクリート造の建物だそうで、「渋沢栄一の80歳のお祝いと、男爵から子爵に昇格した祝いを兼ねて竜門社(当財団の前身)が寄贈した…」とあり、「…栄一の書庫として、また接客の場としても使用されました。」とのことです。
大きさは小さいですが、RC造の建物なので、公的な建物には見えるくらい立派です。写真の角度からは、右奥が隠れるのでシンメトリーな印象が強く、厳格な雰囲気が感じられます。
室内は撮影できる範囲が限られています。写真は、文庫ということで図書館に近いのだと思いますが、室名が「閲覧室」となっている大広間です。接客などに使われた部屋なのだと思います。左側の屋外に面する面に、ステンドグラスと窓枠を飾るタイル装飾があり、とても華やかです。この窓やタイルの意匠は、室内と屋外が同じになっているのですかね。天井の周囲にもコテによる装飾があります。
この窓枠などを装飾するタイルがとてもいいです。渋沢家の家紋「丸に違い柏」をモーチフにとありますが、とてもモダンでカラフルなデザインになっています。復元にあたっては、当時の残っていたタイルの型をそのままとって再現したとのことです。ステンドグラスも柏の葉をデザインしたものだそうですが、こちらは和洋折衷の伝統的な印象です。
建物からせり出した位置にある階段室です。丸く回っていく階段で、RC造の石張りによる重厚な雰囲気と、縦長の窓が丸く並ぶ雰囲気がとてもいいです。個人的な建物なので階段幅は狭く、その適度なコンパクトさが馴染みやすいスケールです。
その階段の手すり子は、六角形の不思議な意匠でとても面白いです。縁起物があちこちにあしらわれている建物なので、亀甲のモチーフでしょうか。上側の手すりからの手すり子を、下側の2つの手すりこで挟んでリベットで締める?という、凝った構造のようです。
続いて「晩香廬」です。1917年に寄贈された「洋風茶室」で「内外の賓客を迎えるレセプション・ルームとして使用されました。」とのことです。平屋のワンルーム広間+厨房などというシンプルな構成です。内部を見ましたが「洋風茶室」という意味はよく分かりませんでした…。軒がとても深く屋根面積の広い寄棟の屋根が印象的で、煙突があるのがいい雰囲気です。コーナー部などに煉瓦?タイル?で装飾がされ、窓の枠を濃い色で押さえた意匠が特徴的です。
内部は撮影できないので、エントランスです。壁のタイルや方杖のあるポーチ風の意匠は洋風ですが、3枚引きの引戸は日本らしい意匠のガラス戸です。ガラスの引戸を入った玄関の正面がガラス面になっていて、ガラス引戸を通じて向こう側の庭が見えています。室内へは、玄関に入って右側に上がる感じになり、この玄関まわりの雰囲気もとても明るく印象的です。
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posted by ki at 20:53| Comment(0)
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