「ばり研通信」188号(2016年9月末発行)の私の連載より、一部、修正して掲載してます。「ばり研」(=ノイエ)は、http://blog.goo.ne.jp/neue-blogです。
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7月は、戸建住宅で一人暮らしをされているBさんを訪問しました。元々お父さんと暮らしていた自宅で、お父さんが亡くなられてからは、ヘルパーさんを頼みながら自宅で暮らしているそうです。Bさんは、過去の施設への入所経験から、一人暮らしがしたかったそうですが、ヘルパーさんを頼みながらの生活は、時間が決められてしまうので半分施設のよう…とのことです。
ですが、主に時間を過ごされている部屋は、日々の暮らしの中で色々なことをされているのが伝わってくる、多様なモノの詰まった、居心地の良い空間でした。動きやすいように、上空もうまく利用して、生活に必要な物が整理されているのに感心しました。
Aさんは、電動車いす使用のBさんが、自宅の玄関を「一人で開けて入っていく」ことが、「必死に入ろうとしている感じ」で印象的だったそうです。「手すりにつかまって」車いすから立ち上がり、玄関引戸の「カギを押して」開けて…と、一人でこなしていました。また、ヘルパーさんを頼んで「好きなプールへ行ったり、好きなことができる」ことが、「悩んでなくて生き生きとしている」と感じたそうです。さらに、「お父さんに頼りきっていた、というBさんの話しを聞いて」、「突然、人がいなくなったら、全部自分が考えなくちゃならない…」と、当事者の方の話しは伝わるものがあるようです。


Aさんは、ダイニングの「テーブルが目に入って、冷蔵庫や炊飯器がそこにあって」、「自宅と同じような空間にいる気がした」そうです。そこで、「Dさんと共同で生活していて」、「たまに(世話人の)Eさんとお酒を飲んでいだり」、「女性の話しをしたり」するのが、「一緒にいるからこそ」で「自然な感じがした」そうです。

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この2つの暮らし方のうち、Aさんがやってみたいと思うのは、Bさんの一人暮らしの方だそうです。その理由は、訪問して思ったことよりも、現在の自分の暮らし方から思う所が強いようで、「家族が多くて、(食事やお風呂などの)時間が区切られていて、(その時間に合わせて動くことから)抜け出せなくて…」とのことです。「ヘルパーを入れることや、一人で暮らすことに憧れていて」と話す一方、「ヘルパーを頼んだことがないので、どうしたらいいか分からない」ことや、一人で暮らすとなった時に、そのことを家族とどう話せるか…など、不安も大きいようです。
私は、大学へ通っている時に一人暮らしをしました。初めは家事などやる事の心配をしましたが、すぐに、友人など知り合いが増えないと、日々の生活が広がらずつまらないことを感じ、苦手な人付き合いに必死になりました。当時の手探りの人付き合いでは、失礼なことも多々あったですし、失敗もしたですね…。

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