2018年06月16日

【色々とみて】124_「林芙美子記念館」の和風と間取りや空間の設え


 先月、新宿区にある「林芙美子記念館」regasu-shinjuku.or.jp/.../fumiko/ へ寄ってみました。実家から結構近い所にあるのですが、記念館の存在を知ったのは最近になってからでした…。以下は、「林芙美子記念館図録」(公財)新宿未来想像財団発行、を参考に、一部引用させていただいています。

s180616a.jpg 1941年に山口文象氏の設計で建てらたとのことですが、いわゆる"モダニズム"ではなく和風の邸宅です。林芙美子さんの言葉に「大工は一等のひとを選びたいと思つた。」とあり、木造の和風住宅好きには見どころ満載です。建物の中に入ることはできませんが、建具が開け放たれているので、外からまわって見るだけでも十分に堪能できます。全体の造作は落ち着いた印象で、建物だけでなく庭の樹木も併せて、絵になる部分がたくさんあります。
 右が"主家(生活棟)"、左が"離れ(アトリエ)"で、建築当時の規模制限により二棟に分けて建築し、後から土間でつないだそうです。「… 東西南北風の吹き抜ける家と云うのが私の家に対する最も重要な信念であつた。…」との言葉の通り、間取りや空間の作り方・つながりなど、とても丁寧に考えてあるのが印象的で、開口部や建具の設えに見入ってしまいます。

s180616b.jpg 主家の"茶の間"と"広縁"です。庭に面した隅部をいかして四尺五寸の"広縁"になっており、"茶の間"との一体感があり、とても開放感があります。ガラス戸のガラス面積も広く、桟も縦に入れて視界の妨げを抑えています。

s180616c.jpg その"広縁"の天井と軒天は、伝統和風の設えで同じ連続した意匠です。"茶の間"から"広縁"と"軒下"を経て"庭"へという、和風の段階的な半屋外空間の魅力を感じて、とてもいいです。

s180616d.jpg 一家団らん場だった"茶の間"は、六畳ひと間の落ち着いた広さと意匠の空間です。

s180616e.jpg 主にお母さんのための部屋だった"小間"です。"茶の間"の横で、庭へせり出した四畳半の空間で、流れの長い屋根による軒の深さと、アクセントの越屋根が印象的です。

s180616f.jpg "小間"の室内はコンパクトで、座る高さに合わせた低い窓と、網代の天井が特徴です。他にもうひと間、一番広い八畳の和室"客間"があり、よくある洋間のような装飾的な要素は無く、"茶の間"や"小間"と同じような設えなのも特徴的です。

s180616g.jpg "玄関"はとてもよく考えられています。写真にはうまく納まっていませんが、広い土間から右側の一段高い"取次の間"からは、"客間"と、主家の動線である"廊下"の2ヶ所へ直接つながっています。左の土間奥の口は、前記の"茶の間"と"小間"の間の"広縁"へ直接つながっており、玄関からは実質4つの入口があります。

s180616h.jpg 主家の広縁の前から"離れ(アトリエ棟)"を見ています。結果的にできたこの二棟の間の"中庭"は、「… 生活の場である主家と … 仕事の場である離れとの間に、快適な距離が生まれ …」「… 家人は庭下駄をはいて行き来 …」とのことで、両棟とも腰掛けるような場所もあり、縁のような路地のような空間だったのかなと想像します。

s180616i.jpg その"中庭"を"土間"からのぞき見ています。"離れ"の建物とモミジ?の表情で、とても良い景色になっています。

s180616j.jpg "離れ"の北側にある"たたき"で、北側にありますが縁側のような出入口です。廊下を介して"寝室"と"書斎"と"アトリエ"にアクセスできます。写真は、その一つ"書斎"の出入口ですが、元は納戸として造られたとのことで、"にじり口"のように建具高が四尺五寸?の小さいままなのが面白いです。
 この"書斎"は、南側も軒の深い土庇、左右は"寝室"と"アトリエ"の壁に挟まれた六畳で、この建物の中で唯一の囲まれ感のある空間になっていたことで、納戸から転用されたのでしょうかね。

s180616k.jpg どれぐらいが当時のものかは分からないのですが、照明などの器具類も魅力的なものがあります。写真は、"アトリエ"の照明でいい雰囲気です。写真は撮れないのですが、"アトリエ"は、北側の壁の窓と天窓で広く自然採光を得ていて、とても明るい空間です。家

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posted by ki at 18:37| 色々と見て