

次に、風をうまく建物の中に引き入れることを考えます。このあたりは、私の個人的な考えで根拠がある訳ではないのですが...。風を引き入れさえすれば、出ていく方は入った量にともなって出ていくのだと思うのです。この風の引き入れのために、写真のような外に開く窓、この住宅ではたてすべり出し窓を採用しています。このたてすべり出し窓を、南または北に向かって開くように設計します。こうすることで、壁に沿って流れる風を、建物の中へと導くフィンの役割を期待します。
例えば、写真の板張りの外壁は、南西を向いています。今の季節は、風は南〜南南東の方から吹くことが多いので、写真の右側の南の方向に向けて開く、たてすべり出し窓を配置しています。すると南から来た風は、板張りの外壁面にあたって、そのまま外壁面に沿って写真の左側の北西方向に流れていきます。この外壁に沿って流れる風も、建物内に引き込もうということです。このような場合、引違い窓だと網戸も外付けとなり、壁に対してフラットなので、壁に沿って流れる風を建物内に引き入れることは、あまり期待できません。引違い窓は、窓に対して角度をもって入ってくる風を引き入れるのに有効だと思うので、この建物では、南東面だけに引違い窓を配置しています。
一方、風が出て行く建物反対側の北東面では、たてすべり出し窓は、逆に北方向に開くよう配置しています。そうすることで、建物の外を流れている風に、自然に引っ張られるように、建物の中から風が出ていくように思います。秋から冬にかけては、風の向きがほぼ180度反対になるだけなので、逆方向で同じように風が建物を通っていくと思います。
2ヶ月ほど経ちますが、風は非常に良く通ります。もちろん、窓だけでなく空間のつながりのあるプランや、吹抜けなどの効果もあります。また、これらたてすべり出し窓は、防犯や転落防止などもあって、全て半開ロックが付いています。写真の状態が半開の時の開き量なのですが、これでも充分に、風が入って通り抜けていきます。
■全館冷房室温測定1:外気温32℃で室温27〜28.5℃


測定日時 2009年6月23日14:30〜15:00頃
外気温 約32℃ 晴れ
エアコン 小屋裏5kwタイプ1機のみ27℃除湿(弱冷房)で運転
AM9:30頃から連続運転
サッシ YKKapフレミング2 ペアガラス(Low-Eではない)
窓 全て閉 3階窓の換気框は開
カーテン 2/3程度レースカーテン引き
3階南西向き一部ドレープカーテン引き
換気扇 24H換気4ヶ所常時換気
測定結果は、
1階 :約26℃
2階 :キッチン,ダイニング,洗面所 約27℃
小上がり 約28℃
3階 :各部屋 約28.5℃
小屋裏:約29℃
でした。
1階は、エアコンの冷気も下っていくのですが、RC造の打放し面があるので、冷えているコンクリートの影響もあると思われます。2,3階は、ちょっと労働をすると汗をかく感じですが、ほどほどな温度です。
外気温が30℃台前半であれば、5kwタイプ1機でもなんとかなりそうです。ただ、エアコンを設置している小屋裏の温度が約29℃なので、エアコンはかなりフル稼働に近いのかもしれません。一般的には、やや容量不足なのかもです。なので、もう1機の2.2kwタイプも遠慮せずに稼働させた方が、良い場合もありそうなので、また、もっと暑い日に測定してみようと思います。
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