■木の加工跡で造った雰囲気を残す
この住宅は、梁や小屋組などがほとんど現しになっています。これらの木軸組の構造材は、通常のプレカット加工のみのままでの仕上なので、プレカット特有の加工跡がそのまま残っています。普通は、壁や天井の裏側に隠れている木軸組を、そのまま現している状態に近いですが、軸組用の杉材は、現し用にグリーンスマイルさんhttp://kurashi-kinoie.cocolog-nifty.com/gogokinoie/が調達・乾燥してくださった、埼玉・東京あたりのとても良い人工乾燥材です。
住宅の空間全体で、木の表情や職人さん方々の仕事の雰囲気を、感じたりできるようにしているので、気にならないだけでなく、色々と見えて、考えたり楽しんだりできます。大工さんとしては、やや受け入れがたい考え方のようでしたが...。
左は、梁に小梁が蟻掛けになっているトコですが、梁の小梁の回りにUの字形の凹みがあります。仕口の掛りが不足にならないよう、きちんと蟻掛けの加工された印のようなものです。その分、加工前の梁幅はふかされてますが、梁が現しなので、ギリギリまで凹みを浅くしてくれています。普通は、この後、凹みが平になるよう梁をもう一度加工するのですが、それを省略しています。
この左は、羽子板ボルトを引く座金の、プレカットの座掘りです。見える場合は、埋木したりするのですが、それも省略しています。その右の5つの小さい凹みは、プレカットの加工機が木材をつかんだツメの跡です。
さらに吹抜けには、梁材の上面に印字される軸組や材の記号が見えています。その他、運搬や建て方の時に付いたバンドの跡やキズなども、基本的にそのままになっています。これらツメ跡や印字などは、プレカット後の表面加工や、完成前に補修をすると分からなくなるのですが、それも省略しています。
省略したのには、前記の雰囲気作りに加えて、工期やコスト面の要因もあります。大工さんの手による手刻みであれば、プレカットのような加工跡は残らず、仕口もキッチリいくのですが、数時間のプレカットに比べ2,3ヶ月かかります。また、この住宅は木材量が多いため、木工事全体での工事費を抑えなくてはならないこともありました。
■整然と見える金物の安心感
上記のように梁が現しのため、梁の抜け止めの役割をする羽子板ボルトも、見えるままにしています。現し用の見えないタイプの羽子板ボルトもあるのですが、高価なだけでなく、そのための梁の加工がプレカットでできず、手加工となるのでやめてしまいました。
一般的な羽子板ボルトとプレカットでも、それなりに見せるために、羽子板ボルトの向きを揃え、座金を向きの気にならない丸にしています。ただし金物の性質上、梁の両端の羽子板ボルトが同じ側にならないように、向きを揃えています。羽子板ボルトは、あえて?ごく普通の腰高タイプを使用しています。見慣れてくると、見えることによる安心感というもあるように感じます。
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2009年07月15日
【堀崎町の家_アイデア】06_木の加工の雰囲気と見える金物
posted by ki at 21:42| Comment(0)
| 風.光.素材の家_アイデア
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