●珪藻土の塗放し左官壁


壁の仕上は2種類あり、色味や表情の異なる互いが引き立て合うようにして、空間が単調になるのを避けようとしています。
仕上の1つはこの珪藻土漆喰の左官壁で、多孔質の珪藻土の、活発な吸放湿性などに期待しています。エコ・クィーン
http://www.ecoqueen.com/という既製品で、タイプと色は珪藻土細粒入のNSZ-3です。既製品でも色々とある珪藻土壁材ですが、その中から、樹脂や防カビ剤を含まない製品であることや、会社を訪ねた時の本気感?や会社の方の雰囲気で決めたのでした。
この左官壁は、防火の関係で石こうボードを張る壁と、明るくしたい吹抜け部の壁、板壁だと有効幅が確保できない階段部の壁に採用しています。その他の壁は、後記の板壁にしています。

コテ仕上は、塗放し仕上と呼んでいますが、上塗りを追っかけで2度塗りしたままの仕上です。なので、左官屋さんが塗っていった自然なコテ跡が残っています。表面は写真のような感じで、たくさんあるツブツブが珪藻土の粒です。押さえのようなフラット感でもなく、模様のような意図的な感じもありません。ですが、ある程度のムラや凹凸があるので、多少の部分補修やキズも、そんなに目立ちません。

壁の構造は大壁なのですが、白い壁面に梁が呑み込まれていくのがあまり好きでなく、左官の作業性の面からも、左官壁は梁下の、胴差等に少しかかった高さで見切って止めます。なので、真壁とは逆に、胴差等が凹んで壁が出っ張っている納まりになっています。この上端の見切りをピクチャーレールで見切ります。左官壁は固いので鋲などは刺さらないので、このピクチャーレールにフックを後入れして、絵などを吊れるようにしています。

一方、下端は普通に、H60mmの杉の巾木をまわして、実用面に配慮しています。
●杉のたて羽目板張りの板壁


もう1つの仕上は、杉のたて羽目板による板壁です。こちらの板壁は、板面の自然な壁の表情づくりと、木材による吸放湿性などに期待しています。

羽目板は、実は、工務店さんが持っていた丸身の目透しの羽目板の実を詰めたものです。設計では糸面でやろうとしていましたが、結果的には、丸身によって壁に適度な表情が付き、床の杉板とも違った印象になったので、かえって良かったようです。羽目板は、上小節に無節をまぜて張っていて、今のところ無塗装のままです。

板壁も大壁なのですが、こちらは板面を天井(上階床合板)面にぶつかるまで伸ばし、梁などを呑み込みます。

下端も、床面に当たるまで羽目板として、特に巾木は必要ないので無しとしています。左官壁と板壁の、こういう見切り方の違いなども、単調にならず飽きない?空間を作るのに貢献しているようです。
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