

Q値の計算には、NPO法人新木造住宅技術研究協議会さんhttp://www.shinjukyo.gr.jp/の「QPEX ver.2.0」を使用しています。一応再度ですが、この住宅は、各評価基準にそもそも当てはまりにくいため、あくまで自己評価による参考値です。
[結果 Q値]
住宅全体 熱損失係数(Q値)=3.57(W/m2K)
各部位 熱損失係数(Q値)=
屋根・天井 0.30(W/m2K)
外壁 1.00
階間部 0.05
床・基礎 0.41
開口部 1.34
換気 0.47

開口部の熱損失が高い原因は、窓面積が大きいことによるのですが、さらに、サッシとガラスの性能もさほど良くないこともあります。サッシは、通常のアルミサッシで、いわゆる断熱系サッシではなく、ガラスも普通ガラスのペアです。これを断熱サッシと遮熱Low-Eのペアガラスとすると、開口部のQ値は0.90、住宅全体では3.13となります。
さらに外壁断熱材の、グラスウール10Kの75mm厚とパーフェクトバリア10Kの70mm厚等を、グラスウール24Kの120mm厚とすると、外壁のQ値は0.70、住宅全体では2.81となります。まだ、IV地域の次世代基準を満たしません。あとは、構造の都合上、1,2Fの間も外部扱いのため、床および屋根面積が、一般的な住宅より1.5倍ほど広くなっていることがありそうです。
IV地域の一般的な外壁断熱の方法の範囲で、次世代基準を満たす住宅とするためには、開口部面積を小さくすることの効果がありそうです。ちなみにこの住宅は、計算用の相当延べ面積約139平米に対して、開口部面積は約38平米もあります。
開口部の数を減らし、窓を小さくするとそれなりのコスト圧縮になるので、こもって暮らしたい方は、窓を建築基準法ギリギリまで減らして、Q値というか熱損失も減らし、なおかつ費用も圧縮するという方向もありそうです。逆にいうと、開放的な窓など開口部の広い住宅で、次世代基準の熱損失を満たすのは困難ということですかね。
[結果 夏期日射取得係数]
夏期日射取得係数=0.072
夏期日射取得係数については、http://www.homeskun.com/syouene/syouene/Myuti.htmlなどを参照してください。こちらも、IV地域の次世代基準0.07以下を満たしていません。
この住宅は、カーテンはあるものの、軒が出てない上に窓にひさしがなく、窓の日射取得は大きくなります。ですが、ダイニングや個室など、メインの採光を北東側にしているため、次世代基準に近い数値に納まっているのだと思われます。
これで、実際の暖房時の室温と、エネルギー使用量との比較検証をすることで、プランや費用などと合わせて適切なバランスを見つける手がかりにしていきます。
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