
会場のとしまち研のあるCOMS HOUSEは、コーポラティブハウスなどを手がけてきているとしまち研が、最初にまとめたコーポラティブハウスだそうです。早めに行って、建物など見てみようと思ったのですが、残念ながら到着は開始ギリギリになってしまいました。
第181回の一木会は、吉田紗栄子さん((有)アトリエ ユニ 代表取締役・NPO法人高齢者の住まいをつくる会 理事長)http://w3.mmp.co.jp/uni/をお迎えして、「住み続けるために」というテーマでした。吉田紗栄子さんから、障害のある方の住まいに対する考え方と実際に設計した住宅を、パワポなどで説明していただきました。

学生時代の卒業制作からずっと一貫して50年近く、「障害のある方々の生活環境、主として住宅の設計を通して住まいを見つめてきた」とのことです。まだ、バリアフリーなんて言葉の無い1964年の東京パラリンピックで、「陽気で、普通に家庭を持ち、仕事を持った上でスポーツを楽しむごく普通の...」とても素敵なイタリア選手の方々と過ごしたことで、車いすの方の住宅を設計することになったそうです。その時には、障害者という観念は全くなく、ただ車いすを使用しているという設計条件が加わっただけだったそうです。
やはり、障害やバリアフリーありきではなく、その人の魅力的な暮らしがあってだと思うのです。この感覚に、日本で半世紀近く前に出会っていた方がいたことが、なんだか素敵な感じがます。
設計の考え方の中では、出かけやすくする玄関アプローチ、居食と寝室とトイレ浴室の3点セットの将来イメージを持つこと、視覚に対する情報や配慮に気を配ることが印象に残ります。
出かけるのがおっくうになってしまうと、気持ちだけでなく、だんだん出かけ体力も無くなっていってしまいますし。トイレやお風呂も、行くのがおっくうになってしまうと、だんだん自力でできなくなってしまいますし。ベッドとトイレ浴室は、できるだけ近づけることもあるという例も見せていだたきました。
視覚では、高齢になると緑内障でなくても、色の区別が付きにくくなるので、浴室や階段など危険箇所は、その人が見える色やコントラストや凸を設計することが大切だそうです。暗く感じるようになるので、明るさが欲しくなるのでもあるそうです。逆に、白内障の手術をされた方は、輝度が高い光や光源は、普通の人よりまぶしく感じることがあるそうで、窓や照明の設計に配慮をしているそうです。
また、車いすなどは、乗り換わると高さが変わるので、洗面などの設備は、高さ方向は調整がきくようにしておくと良いというのも、なるほどと思うのでした。

吉田紗栄子さんの住宅で一人暮らしをされている方(車いす利用)も、会場にいらしていて、経緯や設計でのやりとりの話しをしていただきました。24時間介護なので、ヘルパーさんの負担を少しでも軽減できるように、住宅を建て直したそうです。かなり生活はしやすいようですが、色々なヘルパーさんが出入りするので、機器や建具などは、どうしても壊れてしまうことが多いそうです。なにより、家にいても1人でなく、ずっとヘルパーさんがいるというのがどうなのかなと、思ったりしていました。

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