2013年01月13日
【建物を考える】基礎立ち上がりとアンカーボルト
木造住宅べた基礎の基礎梁立ち上がり部分の、コンクリート打設時の型枠とアンカーボルトです。下に見えている基礎底盤を先に打設した後、その上に鋼製の型枠を組んで、立ち上がりを打設します。基礎の立ち上がり高さは、瑕疵担保保険の規定でGLから+300mm以上、耐久性等の仕様を高めた規定でGLから+400mm以上です。底盤上端がGLから+50mmなので、底盤からの立ち上がり高さはそれぞれ+250mm、+350mmとなります。
立ち上がりは梁のせいに当たるので、高さが高いほど曲げなどの応力度が大きくなるのですが、反面、1階の床高さが高くなったり、基礎の重量が増えたりします。もう一つ後述の、基礎立ち上がりの上の土台や、柱を固定するためのアンカーボルトの施工性に、立ち上がり高さが関係して、実質的には底盤+300mm以上ないと、いかなるM16ボルトの設置でも底盤に絡んでしまうことになります。写真でスケールの右に見えているのが、アンカーボルトです。
写真は、基礎の立ち上がりの隅角部分を上から見ています。立てた両側の型枠の間に、コンクリートを打設していきます。アンカーボルトはこのように、保持具によって型枠に先に固定しておきます。立ち上がり部分の幅は120mm〜150mmで、写真の基礎では150mmです。軸組が4寸(120mm)角なことと、写真のアンカーボルトの引き抜き強さの規定を満たすためです。
アンカーボルトは、土台を固定するためのM12と、柱の引き抜きを留めるためのホールダウンという金物に固定するためのM16の2種類があります。写真は、使用しているM16ボルトで、カナイhttp://www.kana-e.co.jp/のフィストアンカーボルトM16という製品の、長さL600mmのものです。立ち上がり幅150mmの場合、埋込み長さ280mmで36.8kNの引き抜き力に耐えると認定されています。
Z金物のJの形をしたアンカーボルトとは違って、埋込む側の先端が写真のような笠形になっています。笠形なことによって、アンカーボルトの向きや鉄筋との干渉の考慮が少なくなり、施工性が良いです。また、Z金物のアンカーボルトの場合、埋込み長さが、引き抜き力が25.0kNまでは360mm、35.0kNまでは510mmが必要になり、510mmの場合は底盤との絡みを避けることができません。
最近の住宅では、引き抜き力が25.0kNを超える柱が無いことが少なく、3階建てでは何本もそういう柱が出てきます。フィストアンカーボルトM16は、引き抜き力が25.0kNを超えた場合でも、36.8kNまでは埋込み長さ280mmで対応できるので、施工の確実性では大きなメリットがあるので使用しています。
こちらはM12アンカーボルトです。M12ボルトは、Z金物でも笠形ボルトでも、制度上の埋込み長さは同じなのですが、方向性の無い施工性などを考えて、笠形のM12ボルトの長さL450mmを使用します。
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posted by ki at 19:41| Comment(0)
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