2013年04月14日
【建物を考える】屋根と軒裏の通気層とガルバリウム鋼板など
小屋裏のスペースがほとんど無い勾配天井などの室内とする場合、屋根の野地合板の通気性を考えて、通気屋根にします。通気屋根とは、垂木の上に一度野地合板と透湿防水シート張った上に、もう一度垂木を転ばして通気層を作り、野地合板を張った上で屋根を葺く方法です。
写真では、既に鼻隠しが付いてしまっていますが、この鼻隠しに隠れた内側に垂木があり、その上に合板が張ってあります。鼻隠しの上に見えているせいの小さい垂木が、通気層を確保するための勾配垂木で、この垂木間の隙間が、軒先から棟までつながった通気層となります。
この勾配垂木の上にも野地合板を張って、屋根防水のゴムアスなどのルーフィングを敷き、屋根葺き材を葺くことになります。
通気層は、室内から発生して野地板を通り抜けた湿気が、この通気層を通って棟換気口から排気されることと、上記のルーフィングから万が一漏水があった場合でも、もう一つ防水ラインを確保できるメリットがあります。
屋根葺き材は、建物の荷重などへの影響を考慮して、ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材を使います。また、ガルバリウム鋼板は再塗装が基本的に不用なこともメリットです。
金属屋根の場合、雨水が流れやすいので勾配を緩くしますが、軽量なのと併せて風による影響を抑えるため、軒はなるべく短くして、軸組の垂木や小屋束は、金物でしっかりつなぎ留めます。
写真は、濃いグレーのガルバリウム鋼板の立はぜ葺きで、はぜのピッチを垂木の455mmに合わせています。
上記の通気層と勾配垂木の鼻先は、ガルバリウム鋼板の板金で鼻隠しをします。通気層への空気は、勾配垂木の出の部分の下から入るのですが、そのままでは虫などが入ってしまうので、ステンレスのパンチングなどで覆います。
垂木などの納まりの関係で、短いなりにも軒裏がでてきます。写真では、準耐火構造の関係で、軒裏にアスノンの12mm厚を張っています。屋根の通気は上記のように軒先で、壁の通気は壁の上端で行い、どちらも軒裏とはつながらないので、防火上しっかりフタができます。
さらに、鼻隠しと破風を、壁の透湿防水シートを先付けした上で、ガルバリウム鋼板の板金で覆ってしまいます。準耐火構造の関係もあるのですが、他に、軒裏等に塗装が不要になるだけでなく、ガルバリウム鋼板なので再塗装も不用になり、軒裏から屋根にかけては、ガルバリウム鋼板がダメになるまでの長期間、基本的にメンテナンスフリーになります。
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posted by ki at 16:11| Comment(0)
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