
戸建住宅の場合は、2方向避難は考えづらいので、おのずと準耐火構造とすることになります。準耐火建築物ではないので、床や壁などを準耐火性能を満たすよう、告示仕様や認定仕様に従って、石こうボード等の範囲や厚みを増して張っていくことなどで、準耐火構造とすることができます。

ただ、この準耐火構造の考え方が、室内の個々の空間を厚めの石こうボードで隙間無く囲み、主要構造部などから区画するというものなので、天井にも石こうボードが張られますし、真壁構造や梁の現しなどは、基本的にできなくなります。
それでも柱や梁を現しとしたいために、いわゆる燃え代設計という、火事の際に柱や梁が外側から燃えたとしても、芯の部分や仕口が容易に倒壊しないことの規定を満たした上で、現しとする設計方法があります。大まかにいうと、燃え代を除いた材の太さで、容易に倒壊しない程度の応力度等を許容するかを構造計算で確かめることと、仕口や金物を燃え代にかからないよう被覆することを、クリアする必要があります。

上の写真は、木造3階建ての3階部分で、勾配天井と梁を現しとした例の工事途中です。勾配天井は、下地に告示仕様の強化石こうボードを張った上で、スギの羽目板張りをしています。強化石こうボードを張った状態の母屋も、この石こうボードの上から同じ羽目板張りをします。束は法規に規定が無いのですが、柱と同じ四寸角に太くした上で現しにしています。
小屋梁は、燃え代の寸法や構造計算の結果から、無垢材をあきらめ集成材にして現しにしています。集成材に比べ無垢材の方が条件が厳しく、無垢材では四寸幅にすることはほぼ不可能です。また、燃え代は4面にとらなくてはならないのですが、梁の上面はふかすことが施工上難しく、後から燃え代分を同じ集成材で載せる方法にしてます。写真の時点は、まだ上に載ってない状態です。
梁の羽子板ボルトは、燃え代にかからないようにしないといけなので、埋込みボルト型の羽子板ボルトを使用し、それが使えない仕口では、上面にビス留め羽子板ボルトを付けて、後から載せる集成材などで覆っています。壁は大壁なので、梁の仕口は準耐火性能のある壁に隠れるようになっています。火打梁は法規に規定が無いのですが、倒壊には直接関係がないため、通常のままで現しになっています。

これは小屋梁を現しとした例ですが、同時に下階の床梁の現しも検討していましたが、荷重の大きい床梁は、構造計算からは現しとする条件をクリアするのは、難しい状況でした。
以上は、あくまで写真の住宅における個別の設計での例で、確認申請の事前のさらに前に、燃え代設計に関して確認検査機関と打合せをして実現できたものです。打診から資料や構造計算のやり取りなどを経て判断が出るまで、1ヶ月以上かかってます…。

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